2014/06/02
当院からの情報発信

高齢者が開けやすい瓶の形は、なんと平行四辺形

高齢者が開けやすい瓶の形は、なんと平行四辺形

芝浦工業大学が5月26日に発表したプレスリリースによると、同大学デザイン工学部と柏洋硝子株式会社が研究した結果、平行四辺形にデザインされたガラス瓶は力が入れやすく、力の弱い高齢者にもフタが開けやすいことがわかったそうです。

ガラス瓶というと円形や四角形の物を思い浮かべてしまいますが、平行四辺形ですか・・・。写真の左側が、今回の研究を受けて開発した瓶とのこと。なるほど、確かに円形の瓶よりもフタが開けやすいかもしれませんね。

平行四辺形ですか・・・。しつこく繰り返してしまいましたが、言われてみると有りそうで無かった形状ですよね。「盲点だったな」と感心してしまいました。

しかも、このデザインは意匠登録の出願を済ませているそうです。意匠登録とは、工業的なデザインの権利を保護するために行うもので、出願の要件に「新規性」があります。

新規性
登録を受けようとする意匠は、その出願前に知られていない新規なものである必要がある。公知となっている意匠、刊行物に記載された意匠、およびこれらに類似する意匠は、新規性がないものとして意匠登録を受けることができない(3条1項各号)。

まだ審査の途中ではありますが、出願したということは、少なくとも芝浦工業大学と柏洋硝子が「調べてみたけど他にはない」ということですよね。

成熟しているガラス瓶の世界でも盲点はあるのか・・・。いや、ビックリです。驚きました。歴史の浅い在宅医療の世界です。もっともっとアイデア出し合って工夫すれば、さらに進化します。負けず劣らず頑張ろう、そんな気持ちになりました。その前に『ZaitakuHacker』の更新をもっと頑張れって、怒られそうですが(汗)。

せっかくなので、開発の経緯を紹介します。

近年、ガラス瓶はペットボトルに押されて需要が減少しているそうです。まあ、ペットボトルの方が軽くて気軽に持ち運べますもの。身の回りにはガラス瓶よりもペットボトルの方が多いので納得できますね。

とはいえ、ガラスメーカーは困ってしまうわけで、「せっかく耐熱性や衛生性などの点では利点がある、機能性とデザイン性を兼ね備えれば需要が伸びるのでは?」と考え、柏洋硝子が芝浦工業大学の橋田規子教授に相談したそうです。

橋田教授は、瓶のデメリットである「開けにくさ」を解決できないか?と考え、研究を始めました。以下、プレスリリースからの引用です。

まず、15種類の既存品を用いて、20代から80代の男女に瓶の開閉を行ってもらい、「開けやすさ」「持ちやすさ」のアンケートを実施する感性評価を行いました。その結果、握ったときに手の形にフィットするのが「持ちやすい形状」であり、口から胴体までがなめらかになっているのが「開けやすい形状」であることが分かりました。次に、筋電計による瓶の開閉時にかかる筋肉の動きの計測や、粘土を用いた力の入り具合の検証を行ったうえで、数パターンのモデル案を作成し、最適な形状を探りました。

当たり前ですが本格的な調査研究ですね・・・。

この結果、平行四辺形の瓶が一番力が入りやすく開けやすいことがわかり、柏洋硝子が開発したというわけです。

高齢者に優しいデザインは重要です。他の分野でも研究や開発が進むことを期待します!

MEMO
・フタが開けやすい瓶の形状は平行四辺形。
・意匠登録の出願まで済ませている、有りそうで無かった形状。

Good Point
・成熟した業界でも、まだまだアイデア次第で進化する!私たちもアイデアを出し合ってより良い未来を創りましょう!